ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『重役の椅子』(東宝1958:筧正典)

 ラピュタ阿佐ヶ谷モーニングショー・団令子特集にて『重役の椅子』(東宝1958:筧正典)を見ました。
 土曜日の午後、総務部長(土屋詩朗)の突然死、次長である池部良は妻(杉葉子)と息子を伴って熱海旅行へと玄関を出たところ。そこへ部長の死を知らせる電話。
 「何もあなたが行かなくっても」との恨み言を聞き流して会社へ。
 会社へ戻れば総務課員は勢揃い。さりげない会話で、社長(十朱久雄)と専務(河津清三郎)が対立していることがわかる。あるいは、伊藤久弥と白石奈緒美、ふたりの目線のやり取りによって、瞬時に愛人関係ということが解らせる巧みな演出。
 冒頭の10分間で、東宝サラリーマン映画のエッセンスをすべて注ぎ込んだ展開。これで見るものの心を掴み取り、傑作の予感を感じさせる。
 団令子が登場してからの池部良の態度も実にリアルで、その恋愛の終わらせ方も好感の持てる誠実さ。
 予想通りのいい映画でした。