ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

香山美子と渡哲也

 あちこちに書きなぐった文をこのブログに集約する作業の一環です。
 2004年1月の文です。

 昨年のシネマ納めは、12月25日浅草新劇場での『花と龍』(松竹1973:加藤泰)、『やくざの横顔』(日活1970:小澤啓一)でした。『喜劇・仰げば尊し』(東京映画1966:渋谷実)も上映していましたが、一昨年の9月25日に同じ浅草新劇場で公開から36年ぶりで再見したので今回はパス。
 『花と龍』は再々見ぐらいで、公開当時の加藤泰賛美も薄れ、しかも3時間近い長さにも閉口しつつ、やっと今回お目当て初見『やくざの横顔』の上映開始です。
 クレジットタイトルで香山美子の名を発見、ちょいと驚く。物語が始まると北九州が舞台、渡哲也が組の敵二人を殺して刑務所行き。4年後出所しそのまま1年の船乗り生活。戻ると、まだ組同士がもめていて北九州へは帰れず横浜に滞在。恋人・丘みつ子も渡哲也を追って横浜の旅行代理店で働いている。しかし今回のヒロインは丘みつ子ではない。そこに、いわくありげな香山美子の登場。渡と香山の出会いはタバコのライターで始まる。そこで見ている私はややややっと驚きからハタとひざを打つ。なんと心憎い二本連続上映ではないか。
 『花と龍』は火野葦平原作で、北九州の沖仲士のお話。玉井金五郎の渡哲也にその女房・マンに香山美子、二人ががっぷりと四つに組んだ作品。その二人の愛情表現のお守りとしてライターが小道具として使われている。
 そして『やくざの横顔』。ヒーロー・渡哲也の出身が北九州、ヒロイン・香山美子、二人を行き来するライター。これだけ共通項が揃った二本上映に喜ばずにはいられりょうか。
 と、そんなわけで、「私が2003年度に初めて見た日本映画旧作ベストテン」の次点(11位)にランクインしたわけです。もちろんそれだけではなく、小澤啓一のアクションを俯瞰で撮るカメラアングル、脇の内田良平、青木義朗、宍戸錠のすばらしさもあっての評価です。

2004.01.02(金)

 というわけで、次は2004年度はあとまわしにして、2003年度旧作ベストテンの登場です。