ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

舛田利雄トークショー



 フィルムセンターにて、『闘牛に賭ける男』(日活1960:舛田利雄)上映後のトークショーを聞く。
 『闘牛に賭ける男』は、石原裕次郎の正月作品ということだけが決まっていて、何もないところからスタートした。当時脚光を浴びつつあった呼び屋を主人公にし、一番ありえない闘牛を呼ぶことに決定。シナリオハンティングはできずに、山田信夫はスペインに行ったこともないのに、想像で書き上げたとのこと。
 ロケハンも行わず、監督は現地ぶっつけ本番状態。ただ撮影の1ヶ月前に先駆け3人がロケハンやら、現地俳優の選考を行ったとのこと。その3人とは、パリに留学していた助監督(河辺和夫)と木村威夫(美術)、製作主任(中井景)。
 少数スタッフ(10名ぐらい)で現地ロケを行い、そのスピーディーな撮影ぶりに、現地スタッフもびっくりしていた。
 満州国のスペイン駐在外交官で敗戦のため帰る国が無くなり、そのままスペインに住みついた人が通訳をしてくれて、その人のおかげで撮影がスムーズに進行したそうです。今、どうしているかなあ、と懐かしんでいました。
 この作品が事実上の引退作である北原三枝裕次郎との結婚が近いということで、スタッフが気を利かせて二間(ふたま)続きの部屋にしたのに、裕次郎は三枝のことをほったらかしで、連日酒ばかり飲んでいた、というようなエピソードも紹介していました。
 1927年生まれの79歳、足腰もしっかりしているし、しゃべりも弁舌さわやか。本編をまだ撮れそうな感じでした。