18日シネマアートン下北沢にて、『危険な英雄』(東宝1957:鈴木英夫)を見る。
二流新聞記者の石原慎太郎は特ダネをスクープして、一流新聞に引き抜かれて海外特派員を夢見るドライな青年。
彼のライバルは一流新聞記者で父親のコネもある仲代達矢。
誘拐事件発生。それを嗅ぎつける仲代だが、主任刑事の志村喬に誘拐された子どもの安全の為に、と説得されて新聞報道を控える。それを横からかっさらってスクープする慎太郎。得意絶頂の彼は、次々とスクープをものにしていく。そして犯人のモンタージュ写真まで報道してしまう。その結果、追い詰められた犯人は誘拐した子どもを殺してしまうという最悪の事態になる。
殺された子どもの姉・司葉子に「弟はあなたに殺された!」と罵倒されても、動じない慎太郎。意気揚々と「いい記事が出来た」とデスク・小沢栄太郎に報告する。しかし、そこに待っていたのは、地方通信局への左遷。新聞社が世論から袋叩きにあうまえにトカゲのしっぽ切りをしたのだ。
それでもめげることもない慎太郎、颯爽と新聞社を出ていくところで終わる。
冒頭、警察署での司葉子登場シーンが圧倒的に素晴らしい。夜の静かな警察署という男社会の殺風景な場所に、あたかも女神が降臨したような美しさである。またしても鈴木英夫による演出の勝利なのだ。