ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『ぽんこつ』(瀬川昌治)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて、『ぽんこつ』(東映東京1960:瀬川昌治)を見る。
 これまた、楽しい快作、瀬川監督のデビュー作である。
 自動車解体業(ぽんこつ屋)の住み込み工員である江原眞二郎は、女子大4年で医者の娘・佐久間良子に一目惚れ。佐久間と小林裕子の卒論「交通事故について」の8ミリ映画製作に協力することにより、江原と佐久間の仲は急接近する。
 恋を告白するシーンが楽しい。小林裕子を入れての三人デート、やっと二人きりになれ、いっしょにゴンドラに乗る。背中合わせになり、いい雰囲気で佐久間が話している。すると江原が流されていく。二人が乗ったゴンドラは一人用のものであったのだ。当然、彼女は怒って帰ってしまう。このギャグ、今まで何度も使われたものであっても、しっかりと撮れば、やはりおもしろい。
 もうひとつ使い古されたギャグ。小林裕子佐久間良子が、同時に江原真二郎に電話をかけ混線する。画面は三分割で中央に江原、左が小林、右が佐久間、二人からの話しかけでオロオロする江原が笑える。同様のシーンは、『ひばり・チエミ・いづみ/三人よれば』(東宝1964:杉江敏男)でも見た。よく使われる手ではあるが、上手に撮ればギャグの手として有効である。
 この作品には明るい未来がある。主人公の江原には、今はしがないポンコツ屋でも機械工学のことをもっと勉強して将来の技術革新にそなえたいとする向上心がある。そんな江原の情熱に魅かれた佐久間良子、二人はめでたくゴールイン。
 ほんとに、心が洗われるような楽しい作品である。