ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『馬喰一代』(瀬川昌治)


 ラピュタ阿佐ヶ谷にて、『馬喰一代』(東映東京1963:瀬川昌治)を見る。
 いやあ、力強い傑作です。斎藤一郎の『眠狂四郎』ばりのビヨヨーンの旋律がさえわたる音楽に乗って展開する父親と息子の一代記。三國連太郎が絶品です。それに絡む新珠三千代が素晴らしい。
 後半はこの二人に子どもとのアンサンブルで、涙、涙、涙、涙、涙。
 瀬川監督、ここでも映画手法の王道を見せてくれる。『無法松の一生』(大映1943:稲垣浩)でもおなじみだが、時の経過を表す手法として人力車の車輪の動きをオーバーラップさせていた。『馬喰一代』では、赤ん坊から小学校に上がるまでの時間の経過を、子どものおもちゃをオーバーラップさせることによりあらわしている。それも、赤ん坊のおもちゃから次は幼児のおもちゃ、そして男の子のおもちゃ、という具合に、子どもが成長していった様子がわかるように。うまい。
 続いて、小学1年から6年への成長過程は習字の上達ぶりで表している。つまり、2年、3年、4年、という具合に貼ってある習字作品を見せていくわけだ。これまた、うまい。オーソドックスな手法をきちんと使いこなしてこそ、見るものに感動をあたえるのだ!!