ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『山麓』(東映東京1962:瀬川昌治)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて、『山麓』(東映東京1962:瀬川昌治)を見る。
 何でも自分の思い通りに事を運ぼうとする母親・山田五十鈴、事業が失敗して以降、妻のいうがままの父親・笠智衆
 長女・淡島千景は好きな人(木村功)がいたにもがかわらず、母親が打算で勧める成金・西村晃と結婚して愛のない生活をおくっている。
 二女・扇千景は出世コースを歩む丹波哲郎と結婚し男の子二人を産み、長野県諏訪にて幸せに暮らしている。
 三女・岩崎加根子は、そんな母親への反発から、国鉄の機関車運転手・南廣と恋愛結婚して、貧乏だが幸せな生活をいとなんでいる。
 そして、四女・三田佳子千葉真一の恋人がいるものの、見合い相手・渡辺文雄の裕福さにも魅力を感じている。
 松山善三のガチガチの幸福論にいろどられ、さらに夫婦の性のドロドロが得意とする丹羽文雄の原作では、さすがの瀬川昌治も持ち味を出せなかったようだ。彼は庶民の生活を描いてこそ生き生きとしてくるのに、こんな似非中流家庭では気乗りしなかったのではなかろうか。