ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『牝犬』(大映東京1951:木村恵吾)

 フィルムセンターにて『牝犬』(大映東京1951:木村恵吾)を観る。
 京マチ子主演の映画かと思いきや、京マチ子志村喬が並んでのトップタイトル。中身は共演というよりも、志村喬主演作品といってもよい。
 給仕からたたき上げて30年、経理部長にまで昇進した志村喬加東大介京マチ子兄妹の罠にはめられ、会社も家庭も捨ててしまう。
 1年後のある港町、キャバレーのマスターとママに収まった志村喬京マチ子。そこへ若きサックス奏者・根上淳の登場。志村のすがりつく愛情にウンザリしていた京マチ子は、根上へと傾いていく。けれど、根上は相手にせず。
 オープニングの元気ハツラツぶりとはすっかり容貌が変わってしまった志村喬、定石通り嫉妬に狂い京マチ子を刺し殺してしまう。
 その直前、ヌードダンサーとなった娘・久我美子に再会し、はげしく罵倒されたことも要因になっているかもしれない。
 キネ旬の作品紹介には、根上淳の恋人が久我美子となっているが、それはウソ、なんの関係もなし。ラストのラスト、交響楽団に採用が決まり上京する列車の中、根上淳の向かいに座る久我美子。ふたりの接点はこれが初めて、そしてエンドマーク。若いふたりがこれからどうなるか、それは観客の想像にまかせる、という終わりかた。
 ツボを押さえつつ省略法もきいて、木村恵吾の演出は飽きさせない。見どころは久我美子のヌードダンサーぶりかな。