ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『落語野郎・大馬鹿時代』(東宝1966:杉江敏男)

 シネアートン下北沢にて『落語野郎・大馬鹿時代』(東宝1966:杉江敏男)を観る。
 昭和20年秋、学童疎開先の国民学校が舞台。みんなイガグリ頭に半ズボン姿。戦後の東京に帰るまでのつなぎの先生が牧野周一、児童には牧伸二もいる。前作では親子に扮していたが、今回はまさしく師匠と弟子そのままの役回り。なかなか粋なキャスティング。
 授業は6年生の国語とくれば、三遊亭歌奴の十八番「山のあなたの空遠く~」、それが広澤虎蔵節へと転調していく口跡のあざやかさよ。
 時は移って20年後、東京近郊の商店街が舞台。小学6年生たちが成長して、自動車修理工や薬局や寿司屋などになっている。そこへ、不動産屋・立川談志がスーパー建設のために乗り込んで来ての大騒動。
 酒井和歌子は歌奴の妹に扮し、桂米丸の弟・牧伸二とは恋仲。でも兄同士が犬猿の仲で、ロミオとジュリエット状態。
 前作は全員に目配せし過ぎでちょっと散漫になったが、今作のほうが断然おもしろい。チームワークがこなれてきたせいもあるし、立川談志を憎まれ役として一本筋を通し、米丸と歌奴の対立というテーマで話を転がしていったことが、成功につながったのだろう。3作目も見たくなった。