フィルムセンターにて『肉体の門』(吉本映画1948:マキノ正博・小崎政房)を見る。500円。
田村泰次郎の原作は5回映画化されたが、これが本家本物。やはり戦後すぐの作品だけあって、有楽町や銀座周辺の街の風景はリアルである。
関東小政に扮した轟夕起子が主人公で、純情可憐な月丘千秋が山猫マヤに扮する。小政たちが住む地下廃墟の近くに教会があり、そこの牧師が水島道太郎。彼を登場させることにより、女たちへの優しい救済の手を差し伸べている。戦後の荒廃した世相と言えども、まだまだ世の中は明るい希望を持っていたのだ。
鈴木清順、恩地日出夫、西村昭五郎、それぞれのリメイク版に比べても、やはり断然すぐれている。なお、五社英雄版は見ていない。