ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『休暇』(2008:門井肇)






 有楽町スバル座にて『休暇』(2008:門井肇)を見る。750円(招待券を金券屋にて)。パンフレット600円。
 刑務所の看守というと、東映ヤクザ映画の影響で悪いイメージがつきまとっていた。もちろん、フィクションの世界とわかっていても。
 この作品を見ると、刑務官と言えども心優しき普通の人なんだなとしみじみ理解できる。登場する彼らが主に死刑囚を担当する刑務官ということもあるかもしれない。
 それにしても、死刑執行の際に吊り落ちてきた死刑囚がもがきあばれないように下で支える任務があるとは。また、それが偶然とは言え、結婚披露宴の午前中に執行される運命のいたずら!
 小林薫側の招待客は職場の上司や同僚ばかり。死刑執行に立ち会わなかった人たちはモリモリ食べ、立ち会った面々は全く食が進まない。そのわけを言えるはずもなし。その笑えぬおかしさ。
 脚支えで獲得した「休暇」での新婚旅行中も、死刑執行の事は話せない(話してはいけない)小林薫。大塚寧々の息子に死刑囚・西島秀俊の思いを重ね合わせ、しだいに打ち解け出すふたり。
 これが2作目(?)という門井肇監督、決して上手い演出ではないが、登場人物を見つめる静かな優しいまなざし。映画を撮らない時は、実家の米穀店を手伝っているという監督。その地道な生活からして、好感が持てる。これから応援していきたい監督がまた一人増えた、うれしいことである。