ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『女の坂』(松竹京都1960:吉村公三郎)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて『女の坂』(松竹京都1960:吉村公三郎)を見る。「シネマ紀行・京都ものがたり」特集の1本である。800円(会員)。
 テーマが絞り切れていない。老舗京菓子屋の主人になった岡田茉莉子の奮闘ぶりを描くのか、高千穂ひづると河内桃子との友情と恋愛を描くのか、はたまた母・乙羽信子と娘・岡田茉莉子との佐田啓二をめぐっての葛藤を描くのか、それらを丸ごと描き切ろうと欲をかいたのが失敗であった。
 吉村=新藤兼人(脚本)コンビとしては、珍しくメリハリのない凡庸な作品であった。
 クレジットに森美樹の名前を発見し、どんな役で登場するかと楽しみに待っていた。河内桃子の兄で、学生運動くずれのスナックバーのマスター、暗~い役であった。その年の暮れの死を予感させるような、覇気がない役回りでがっかり。何も森美樹が出る必要はなかった。
 それにしても、松竹の男優陣は若死にが多いなあ。