ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『遠い一本の道』(1977:左幸子)

 ラピュタ阿佐ヶ谷モーニングショーの左幸子特集にて『遠い一本の道』(左幸子プロダクション=国鉄労働組合1977:左幸子)を見る。800円(会員)。
 井川比佐志・左幸子夫妻が勤続30年授賞式に出席するところから始まる。そして、夜の内祝いの席に、長女・市毛良枝が恋人・長塚京三を連れてきて、、。そこから、回想へと入っていく。
 国労の人たちの中に、井川比佐志や殿山泰司をとけ込ませ演技させている。それはかなり成功している。当局の合理化やマル生運動と闘う組合員たちの姿を声高々に訴えるわけではない。主婦の立場から生活面を中心に描いている。
 ラスト、結婚式のために長塚の郷里・長崎へ新幹線で行く。時代の最先端電車で向かった先が、かつて長塚の父親・吉田義夫が働いていた軍艦島。その廃墟が、国労の未来を暗示しているようであった。
 30年後の今日、井川の長男・磯村建治の世代が、ほんの少し頑張っているとは言え、国鉄国労も忘れ去られてしまったのは、時代の流れでいたしかたないのかもしれない。