シネマヴェーラ渋谷にて、『暗号名<コードネーム> 黒猫<ブラックキャット>を追え!』(1987:井上梅次)を見る。1000円(会員)。
スパイ防止法制定のキャンペーン映画らしく、それに反対する勢力によって映画館での上映を阻止されてお蔵入りしたらしい。
私もスパイ防止法なるものには反対であるが、だからといって上映阻止しようとは思わない。それは先日の『靖国』問題も同じである。
さて、肝心の作品であるが、文句なくおもしろい。さすが井上梅次、一級の娯楽作品に仕上げている。新東宝で同期だった石井輝男が晩年になって変な方向に行ってしまったのに対して、井上梅次の目指す方向はぶれていない。
派手なアクションやドンパチがなくても、こんなにスリリングでサスペンスたっぷりの映画に仕上げる、その職人芸の素晴らしさ!昨今の監督たちは見習わなくてはいけない。
なお、ほとんど上映されていなかったようで、まるでニュープリント状態の美しさであった。