ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『グッドバイ』(新東宝1949:島耕二)

 神保町シアターにて『グッドバイ』(新東宝1949:島耕二)を見る。「男優・森雅之」特集の1本。1200円。
 オリジナル80分版はすでにないようで、今回上映したのは10分短い70分の短縮版でしかも『女性操縦法』に改題されたもの。
 金持ちの娘にみそめられた雑誌編集者・森雅之。上司の社長・江川宇礼雄は会社に資金提供してもらうため、是が非でも結婚させたい。ドンファン森雅之もその気となり、4人の女たちに「グッドバイ」のセリフを最後に投げかけて別れる。
 それを手助けするのが、金持ち令嬢との一人二役を演じる高峰秀子森雅之との共演はこの作品が初めてか?
 森雅之ドンファンぶり、サマになっていて前半は快調なテンポですすむ。後半は日本的なメロドラマな結末となったのが残念。というより、それが当時の世相なんだからよしとしよう。
 それにしても、たった10分切っただけで、話の展開がわからなくなる小国英雄の脚本は素晴らしい!いかに省略法を巧みに使って凝縮した作品に仕上げているかがよくわかる。それにひきかえ、30分も切った『東京のヒロイン』はどうしたことか。話の展開はわかるどころか、まだモタモタしている。新人・長谷川公之とベテラン・小国英雄だけの違いだけではなさそうだ。
 トップクレジットが、高峰秀子、若原雅夫、森雅之の3人並列。その若原雅夫は冒頭とラストに出てきただけ。しゃれた演出ではあるけど、ぜいたくな使い方。80分の原版にはもう少し登場シーンがあったのだろうか?ちょいと気になる。