ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『ガマの油』(2009:役所広司)






 丸の内TOEI②にて『ガマの油』(2009:役所広司)を見る。1300円(前売り券)、パンフレット700円。
 DLP上映、多分フィルムプリントはないかも、とのモギリくんの答え。思ったほど違和感はなかった。出だしのデイトレーダーの部屋、その無機質的な映像でデジタル上映とわかるが、しだいになじんでくるとほとんどフィルムと大差なかった。少なくとも、昨年、新宿バルトにて『チェスト!』(2008:雑賀俊郎)をDLP上映で見せられたほどのひどさは感じられなかった。成功だろう。
 息子(瑛太)の死という悲しい現実を笑い飛ばし陽気にふるまうことでやり過ごそうとする矢沢拓郎(役所広司)。何億円も税金を払っているというデイトレーダーぶりがおもしろい。株価変動を知らせる携帯がなると、脱兎のごとく数台のパソコンに向かい売買して、何億稼いだと言っては喜び、損したと言ってはそのショックを笑い飛ばす。
 豪邸に住んでいながら、その生活ぶりは質素。それは奥さんの輝美(小林聡美)さんが庶民的だからだ。豪邸を出てからのキャンピングカー生活も、ひょうひょうと楽しんでいる。いい奥さんである。
 その両親のひとり息子・拓也(瑛太)も実に素直で地道な青年。その彼が愛する恋人・光(二階堂ふみ)が、これまた素直を通り越して天真爛漫ないい子である。彼女の存在が、この作品を成功に導いたと言ってもいいだろう。
 拓也の友人・秋葉三郎に扮した澤屋敷純一も演技経験ゼロながらも実に素直ないい味を出していたし、ガマの油売りに扮した益岡徹の奮闘振りには笑ってしまう。
 そして、光のおばあちゃんに扮した八千草薫のほんわかとした雰囲気には、見ているだけで至福の境地に達してしまう。
 ラスト、横須賀港での出会いは、涙なくしては見られない。
 心豊かになる作品であった。

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