ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『悪の紋章』(宝塚映画1964:堀川弘通)

 神保町シアターにて『悪の紋章』(宝塚映画1964:堀川弘通)を見る。「男優・佐田啓二」特集の1本。再見。スタンプ5個たまって無料、1200円×5=6000円、つまり1本あたり1000円ということになる。5分前に行って整理番号97番。定員101席なのでほぼ満席。月曜日14時15分の回でこの状況、中高年の客をしっかりつかんだ神保町シアターは大当たりのようだ。
 さて、佐田啓二特集ではあるが、主演は山崎努。先日、ラピュタ阿佐ヶ谷で『最後の審判』(東京映画1965:堀川弘通)を再見した時、仲代達矢よりももう少し若い山崎努のほうが適役かなと思った。見終わって『悪の紋章』を思い出し、もうすでに堀川作品で主演してるじゃないか。ではその結果はいかにという思いで、見たわけである。
 内容は、罠にはめられた刑事の復讐物語だが、橋本忍が作りこみすぎたようで、すっきりとしたカタルシスには遠く及ばない。部分、部分は覚えていたが、今回は『最後の審判』と同様に初見のような気分で鑑賞。しかもこれまた同様に少し居眠りをしてしまう。安部徹との絡みがどんな具合だったかわからずじまい。
 復讐する相手が佐田啓二、これがちょっと線が弱すぎ。山崎に証拠写真をネタに何度が脅されると、あっさり首吊り自殺してしまう。敵役はもっとどっしりと構えて憎たらしくなければ面白くない。結局、最後に笑ったのは佐田の妻・岸田今日子だった、というオチ。ああ、つまらなかった。
 この作品の失敗で、『最後の審判』は、無難な仲代達矢におさまったのかもしれない、かも。