ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『制服の乙女たち』(東宝1955:青柳信雄)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて『制服の乙女たち』(東宝1955:青柳信雄)を見る。昭和の銀幕に輝くヒロイン[第49弾]雪村いづみの第4週。800円(会員)。
 雪村いづみの歌と青山京子の恋愛を描く女子学園もの。主演ふたりの持ち味を充分に生かして、十朱久雄、吉川満子、岡村文子、森川信藤原釜足、らの芸達者で脇を固めて、楽しい作品に仕上がっている。
 財閥の御曹司・石原忠と新聞記者・小林桂樹が身分を取り替えっこして、その石原忠に恋する青山京子。このシークエンスは、外国映画のいただきかな。そこへパリから婚約者・小林桂樹を追いかけて青山京子の姉・河内桃子が帰国する。姉妹で、ひとりの男性をめぐっての三角関係になってしまったかとの勘違い。
 ここらへんの人物の出し入れ、描き方はうまい。さすがベテラン演出家・青柳信雄である。
 雪村いづみのボーイフレンド・江原達怡もおもしろい。郵便局の息子で、探偵小説好き。彼の部屋は名探偵気取りでさまざまな仕掛け。それをカメラはサラッとほんの何秒か撮るだけ。これだけのセットを作るのにどれだけの手間ひまかけたことか。映画作りの豊さを垣間見られた瞬間であった。
 ラストでの主要人物一堂に会してのハッピーエンドには、、雪村いづみの歌を聞きながら、幸せいっぱいの気分となり、涙が自然とこぼれてしまった。
 そういえば、河内桃子が歌手という設定でパリの歌(シャンソン?)を歌っていたけど、彼女の声に思えたが、本物かな?