ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『さまよう刃』(2009:益子昌一)

 ユナイテッド・シネマ豊洲シアター2にて『さまよう刃』(2009:益子昌一)を見る。1000円(ユナイテッド・シネマ10周年記念日)、パンフレット700円。
 手垢にまみれたテーマで新鮮味がない。予想通りの結末でカタルシスもなし。悲しみもなければ怒りもなし。せめて、ハラハラドキドキ、サスペンス的展開を期待したがそれもなし。
 映画なんだから、テレビとは違うんだから、強姦魔を殺した後に射殺されるぐらいの展開がほしかった。製作・企画・プロデュース・プロデューサーがずらりと21人も並んだクレジットを見て、悪しき「製作委員会」方式の実態を見た思いである。強力なるプロデューサーがいない、「会議は踊る」で、誰も責任を取りたくない。最大公約数的な内容になってしまう。映画は現場で作られるのではなく、会議室で作られてしまっている。
 そのいい例が、パンフレットには、監督・益子昌一の紹介がわずか5~6行で済まされていて、本人が何歳でどんな思いで監督したかなどというコメントは一切ない。
 最後に、気になっていることがひとつ。もともと東映作品のカラー画面がきたないのは承知している。『相棒 -劇場版-』(2008:和泉聖治)でもやたら暗く、『火天の城』(2009:田中光敏)ではザラザラときたならしく、黒味の着物は真っ黒クロスケ、ひだひだが全然でていない。遠景の人物はぼやけていてビデオカメラで撮ったのかと思うくらい。
 今回の『さまよう刃』も同じである。画面はきたならしく、刑事たちが着ているダーク系統の洋服は真っ黒クロスケののっぺらぼう、まるで奥行き質感が感じられない。これはどういうことなんだろうか。カメラの性能がよくなり、なんでも写ってしまうから照明を手抜きしているんだろうか。