ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』(2009:根岸吉太郎)

 ユナイテッド・シネマ豊洲シアター7にて『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』(2009:根岸吉太郎)を見る。1000円(ユナイテッド・シネマ10周年記念日)、パンフレット600円。
 さすが、撮影所育ちの監督は違う。暗い画面でも陰陽がはっきりして、画面はきれい。ヒロイン・松たか子を美しく撮っている。演出も隅々まで行き届いている。たとえば、松たか子浅野忠信が会話しているところからカメラがややパンすると、奥の座敷では室井滋が二人の子どもと紙風船で遊んでいるところがさりげなく入ってくる。その横では伊武雅刀が夜の仕込み準備をしている。このさりげない演出が画面に奥行きを持たせ、膨らませるのだ。
 根岸吉太郎作品は、デビュー作『オリオンの殺意より 情事の方程式』(にっかつ1978)からずっと追いかけていて、ほとんどハズレなし、映画らしい映画を堪能させてもらった。欲を言えば、ここらでもうひとつずしりと突き抜けるような作品を期待したいのだが、、、。