フィルムセンター「よみがえる日本映画vol.4[大映篇] -映画保存のための特別事業費による」にて、『帰って来た幽霊』(大映京都1955:斎藤寅次郎)を見る。500円。
砂金掘りという一攫千金の夢を追い、女房・浪花千栄子と子ども二人を捨てたアチャコ。夢破れて15年ぶりに島へ戻ってみれば、女房は柳家金語楼と再婚し、息子・田端義夫と娘・峰幸子も立派に成長し、それぞれ結婚間近。アチャコは名乗りをあげずに陰ながら家族を助けて、また島を去っていく。
浪花千栄子が盲目という設定にしたため、アチャコとの丁々発止のやり取りはなく、その分、アチャコの家族愛が強調された人情ものになって、これまたしんみりといい味を出している。
斎藤寅次郎のギャグセンスは、この頃になると、さすがにテンポがスローとなり、くどくなり、笑うに笑えないところも出てきている。
そんな中、ラスト、新婚旅行に行く娘夫婦を見送るシーン、港から離れた岸壁に堺駿二・清川玉枝夫妻に支えられて手をふる浪花千栄子。手を振るのに夢中となり、2~3歩前へ進む。あと1歩、これを踏み出せば盲目の千栄子は海へドボーン。その最後の1歩をこれ見よがしに高々と足を上げる千栄子。「あぶない!」とばかりに堺・清川から抱き止められ、間一髪無事。
情感盛り上がる別れのラストシーンでのシュールなギャグ。笑いも見事に炸裂し、斉藤寅次郎、面目躍如といった出来栄えでした。
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