ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『そして父になる』(2013:是枝裕和)




 『そして父になる』(2013:是枝裕和)をユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン10にて見る。1000円、パンフレット700円。
 たとえば、斎木雄大(リリー・フランキー)・ゆかり(真木よう子)の家庭が主人公だったら、どうなっていたのだろうか?
 おとなしい慶多(二宮慶多)は、心に傷を負いながらも、なんとか新しい家族に順応しようと努力し、妹・弟とも仲良くしていったのかもしれない。もちろん雄大・ゆかり夫婦もそれまでの6年間を取り戻すべく、愛情いっぱいに接しただろう。
 一方、野々宮良多(福山雅治)は、琉晴(黄升)の育ち方にいらつきながらも、それまでと同様に子育ては妻・みどり(尾野真千子)にまかせっきりし、仕事により一層のめり込んでいくのだろう。
 これが、冒頭に病院事務長(小倉一郎)が説明した常識な展開なのだろう。
 それでは、この作品が成り立たないし、そもそも、是枝裕和監督が福山雅治を主演にして映画を作ろうとした趣旨からは大きくかけ離れてしまう。
 というわけで、血よりもそれまで過ごした6年間を選択するという展開になるわけではある。
 文句のつけようもない演出であり、演技ではある。すばらしい!と言いたいところではあるが、あんまり感動できない。そもそも、エリートである野々宮良多に共感できない。6年間育てた慶多を失って、初めて父親に目覚める態度も、ほんとかな、と思ってしまう。仮に自己主張する琉晴タイプではなく、素直な慶多タイプだったら、どうなんだろう。案外、育てた6年間よりも、血を選んでしまったかも。
 一見、ハッピーエンドのようではあるが、まだ子育てはスタートしたばかり、良多もやっと父親に目覚めたばかり、それまで生きてきた40年近くの人生観をガラリと変えることは難しい。これからも多難な展開が待ち受けているかもしれない。それを思うと悲観的、、、、。
 いや、暗い話が多い中で、せっかく「そして父になる」のだから、希望を持とう!
 がんばれ、野々宮良多!

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