ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『幻肢 げんし』(2014:藤井道人)






 『幻肢 げんし』(2014:藤井道人)を新宿・K's cinemaにて見る。1000円、パンフレット600円。
 これはいい。前作のメジャーデビュー『オー!ファーザー』(2014)は筋を追うだけで手一杯という感じで、何の面白みもなかった。今回は、主人公・神原雅人(吉木遼)をじっくり描きこむことにより、見る者をぐいぐいとひきつける。やはり、『オー!ファーザー』の監督に抜擢されるだけの演出力があった、ということがよくわかる。
 特に圧巻なのが、冒頭のシーン。宮沢教授(佐野史郎)が学生に対して「幻肢とは何か」を講義する。専門的な用語を駆使しての長台詞、それをわかりやすく演じきった佐野史郎もすばらしい。しかし、それ以上に、この作品のテーマの核心を、グイグイと描き切った演出力には脱帽してしまった。
 主演の吉木遼は映画初出演ということで、ちょっとぎこちない面はあったが、それが逆に繊細さをよく表現していて、今後が楽しみ。恋人役の谷村美月は相変わらずうまい。
 また、久しく脇の脇にまわっていた遠藤雄弥が主人公の友人として重要な役回りを巧みに演じ切っていた。『ジュブナイル』(2002:山崎貴)の子役がここまで成長したかと思うとうれしい。
 それと、敵役やキモイ役が多かった宮川一朗太も学生を親身に思う准教授役でいい味を出していた。
 ともあれ、沖田修一、日向朝子、入江悠に次ぐ、日藝映画学科出身の監督が誕生したことは映画界にとって、うれしいことではないでしょうか。

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