ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『百円の恋』(2014:武正晴)






 『百円の恋』(2014:武正晴)をテアトル新宿にて見る。1100円、パンフレット600円。
 実家の弁当屋を手伝うわけでもなく、ゲームをしながらスナック菓子をボリボリ。それに飽きれば、深夜のコンビニ通い。食っちゃ寝のグータラ生活の斉藤一子(安藤サクラ)、32歳。
 そんな彼女が、出戻り妹(早織)と大喧嘩したことをきっかけに、家を出てアパートの一人暮らし、深夜の100円コンビニで働き出す。ボクサー崩れの狩野(新井浩文)との恋が破れたことからボクシングジムに通い出す。
 甥っ子とゲームをしている一子、ボリボリと腰周りをかく。ぶにゅっとはみ出した肉。それが現在の一子の全てを的確に表現していて、すばらしいショットである。
 猫背でオドオドして動作も緩慢だった一子が、縄跳びは二段飛びを難なくこなし、フットワーク軽やかにシャドーボクシングができるようになるプロセスは、躍動感に満ちあふれ、わくわくしてくる。このシーンだけでこの作品は大成功と言える。
 おまけに、クライマックスでは、本物のボクシングシーンが見られて大満足。いかに真剣勝負かというのは、妹・早織の赤く充血した目で食い入るように応援している表情からも感じられる。
 ロバート・デニーロにも負けていない安藤サクラの役作りに、拍手喝采!!