ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『金色夜叉』(松竹大船1937:清水宏)


 『金色夜叉』(松竹大船1937:清水宏)を 国立映画アーカイブ(旧名称:フィルムセンター)長瀬記念ホール OZUにて見る。同時上映『金色夜叉』(赤澤キネマ1934:赤澤大助)、310円。

 人物の設定も近代的に改変され、波打ち際で貫一が宮を蹴り倒す原作の有名な場面も、海沿いの車道で揉める2人を遠景でとらえた、清水らしいものになっている。脚本の源尊彦は清水のペンネーム。(NFAJパンフより)

 この作品の間貫一はかなり現代的(1930年代後半当時ではあるが)で、高利貸しの社員となってからは三つ揃いのスーツ姿で、金貸しの非情さに徹している。
 高利貸の愛人なのか何だかよくわからない役柄の三宅邦子がおもしろい。銀行家・近衛敏明金策相談にのってあげたり、食事をしたり、かとおもうと夏川大二郎を自分になびかせて見せると公言したり。彼女こそ、21世紀の現代にも通じる女性像かもしれない。
 それにしても、川崎弘子は段違いの巧さであり、美しい。彼女の若い頃を久しぶりに見ただけでも満足、満足。


2018年8月14日(火)鑑賞。

        スタッフ
監督・         清水  宏
脚本          源尊彦、中村能行
原作          尾崎 紅葉
撮影          青木  勇
音楽          伊藤 宜二
舞台設計        江坂  実
舞台装置        矢萩 太郎
舞台装飾        井上恒太郎
録音          土橋晴夫、石川桂市
配光          鈴木 武夫
衣裳          柴田 鉄蔵
監督補助        清輔影、牛田宏、大屋善三
撮影事務        田尻丈夫

        キャスト
夏川大二郎       間貫一
川崎 弘子       鴫沢宮(お宮)
近衛 敏明       富山唯継(お宮の夫)
三宅 邦子       赤樫満枝
上山 草人       鰐渕直行(高利貸)
佐野 周二       息子・直道
大塚 君代       藤子
佐分利 信       荒尾譲介(貫一の友人、ボート部)
笠  智衆       風早庫之助
武田 秀郎       お宮の父
吉川 満子       お宮の母
高峰三枝子       箕輪俊子(お宮の友人)
石山 隆嗣       箕輪亮輔
岡村 文子       箕輪夫人
香椎 三郎       蒲田鉄弥
豊田  満       飽浦雅之
河原 侃二       銀行の老社員
仲 英之助       銀行の重役
酒井啓之助         〃  
中尾 兼徳         〃  
青野  清         〃  
日守 新一       実業家
若水 絹子       芸妓
忍  節子       〃 
小牧 和子       〃 
久原 良子       令嬢
森川まさみ       〃 
祇園 初枝       〃 
織田千恵子       〃
出雲八重子       鴫沢家女中

77分・35mm・白黒


公開は、
1937.06.10 帝国館/丸の内松竹/新宿松竹館
12巻 3,143m