ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『なつかしの顔』(東宝京都1941:成瀨巳喜男)


 『なつかしの顔』(東宝京都1941:成瀨巳喜男)を国立映画アーカイブB1F・小ホールにて見る。5月6日から始まった「NFAJコレクション 2022 春」の1本。420円。初見。同時上映『熱情の翼』(新興東京1940:小石栄一)。
 弘二の家は、兄が戦争に行き、母、兄嫁と赤ん坊の4人暮らし。町の映画館に出征中の兄が映っているニュース映画がかかっているという。そんな時、友達の模型飛行機が木に引っ掛かり、それを取ろうとした弘二が落っこちてケガをしてしまう。
 ここらへんの導入部は巧みである。まず、友人の飛行機を羨ましく、「どこで買ったの?いくらだったの?」何度となく聞く。ケガを知らせに来た友人の後を追う兄嫁、どこに弘二がいるかわからない。次のシーンカットでは、軽い脚のケガで済んだらしい弘二が寝ている。短編ならではの巧みな省略法。さすがである。
 母親が次の日、ひとりで町の映画館へ。バス賃を浮かすためにテクテクと歩く。途中、偶然にも知り合いの荷馬車に乗せてもらう。町で見かけた模型飛行機、80銭と聞いてあきらめるが、また戻りもっと安いのはないか(値切り交渉のつもり)聞いてみるがダメ。ひとり、夜の映画小屋へ。ニュース映画で戦闘シーンは見たが、どこに我が息子が出ていたのかわからずじまい。
 さらに次の日、兄嫁が赤ん坊をおぶってバスで町へ。例の模型飛行機をチラリと見る。まだ開いていない映画小屋の前。少し時間をつぶして、夜の映画小屋前。中には弘二の友達が父親と一緒に見に来ている。
 やがて帰ってきた兄嫁、その手には模型飛行機。弘二は大喜び、兄が出ている映画の話(母と兄嫁が口裏合わせ)にも満足。
 次の日、友達から兄嫁が映画を見に来なかったことを聞き、怒りをぶちまける。兄嫁が諭す。今、お国のために戦っている多くの兵隊さんたち、、、云々かんぬんと。
 そこへ、担任の先生。映画館に交渉して、1日だけ学校で上映してくれることになったと。4人そろって喜び勇んで学校へのハッピーエンド。
 日中戦争の様子はニュース映画で紹介。でも、ロサンゼルス日本人街での赤ちゃんコンクールの様子も紹介。まだ、太平洋戦争前のお話。
2022年5月15日(日)鑑賞

    スタッフ
監督・原作・脚本 成瀬巳喜男
製 作      氷室 徹平
製作主任     大岩 弘明
撮 影      木塚 誠一
音 楽      太田  忠
照 明      丸川 武郎
装 置      北村 高敏
録 音      荏原  信
編 集      松浦  茂

     キャスト
花井 蘭子    お澄(兄嫁)
小高たかし    弘二
馬野都留子    母
藤輪 欣司    叔父さん
深見 泰三    学校の先生(弘二の担任)
原  純彦    健ちゃん
小高まさる    新ちゃん
沢井 一郎    政ちゃん
大倉 文雄    政ちゃんの父
渡  草二    重さん
 
東宝京都作品
(34分・35mm・白黒)
公開日 1941年1月18日


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