ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『月と雷』(2017:安藤尋)






 『月と雷』(2017:安藤尋)をテアトル新宿にて見る。1100円。
 泰子が子どもの頃、父親に愛人ができて母親は家を出ていった。その代わりに愛人・直子と連れ子・智が家に住み着く。愛人はぼんやりとタバコを喫うだけで何もせず、家の中は荒れ放題。でも、泰子は智と遊ぶことに夢中でそんな状況を楽しんでいた。
 ある日、突然に直子と智はいなくなる。呆然と泣きじゃくる泰子を父親は「これからはふたりで生きて行こう」と慰める。その後は家の中もきれいになり、父親と普通の生活を続ける。そして、父親も亡くなり、地元のスーパーで働き、結婚を申し込んで来る男性も出来、、、、。
 そんな時、成人した智が突然現れ、彼を追うように直子も現れ、また三人の奇妙な共同生活が始まる、、、。
 孤独感を漂わせた初音映莉子がなかなかいい。オールヌードも見せてくれて、まさに身体を張った演技が潔い。
 ちょっと軽薄っぽい高良健吾もいつも通りの演技でいいけど、もう少しその中身を垣間見せる演技も欲しかったかな。
 崩れた容貌の草刈民代には驚かされた。こんな彼女は今まで見たこともない。この作品、彼女のアンニュイなたたずまいを見るだけでも一見の価値あり。
 監督の安藤尋は、今まで『僕は妹に恋をする』(2007)、『海を感じる時』(2014)、『花芯』(2016)、と見てきたが、もう少し心情をうまくだせる演出ができればいい作品になったのに、とイマイチ状態だった。今回はかなり上手くなってはいるが、まだもどかしさが随所に感じられる。例えば、泰子が智とセックスする過程の心理状態とか、、、。

 一見の価値あり。

2017年10月8日(日)鑑賞。

      キャスト
初音映莉子      泰子
高良 健吾      智
藤井 武美      佐伯亜里砂(泰子の父親違いの妹)
黒田 大輔      山信太郎(泰子の婚約者)
市川 由衣      吉村(泰子が勤めるスーパーの同僚)
村上  淳      泰子の父
木場 勝己      岡本(石材店経営、直子を家に住まわせる)
草刈 民代      東原直子(智の母親)