ユナイテッド・シネマ豊洲にて『アジアンタム ブルー』(2006:藤田明二)を見る。
淡々とした静かなやさしい映画です。恋人がガンに侵されて死にいたる訳だが、号泣もなく、あるがままに死を受け入れている。その最期を美しい地中海を二人で見ながら死んでいく。なかなかいい。
長身の阿部寛と並ぶこれまた長身の松下奈緒のカップルは絵になっている。実にいい。原作の大崎善生の世界も私の好みかもしれない。唯一読んでいる「パイロットフィッシュ」はちょっと感銘を受けているので。
カメラマン・松下奈緒が撮ったという設定の写真(水溜りに映る子供だったり、建物だったり)が実に透明感あふれて美しく、この映画を象徴しているようだ。写真撮影は矢部志保。
大島ミチルの音楽もいい。大編成オーケストラの重厚なサウンドと松下奈緒が演奏するピアノを巧みに絡ませて作品の情感を盛り上がらせてくれている。今年の音楽賞は『明日の記憶』とともに大島ミチルで決定です。