ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

追悼・熊井啓『深い河』


 銀座シネパトス・レイトショーにて『深い河』(1995:熊井啓)を観る。
 6月16日から行なわれている「追悼・映画監督 熊井啓 =戦後/日本/社会=」の1本である。つい先日に亡くなった音楽・松村禎三の追悼も兼ねて、あるいは昨年4月に亡くなった沼田曜一の追悼でもあり、1997年12月に亡くなった 三船敏郎の追悼上映でもある。
 遠藤周作の原作で、人間いかに生きるべきかという善と悪のテーマを真面目に描いている。自分捜しの旅なんて?、と思いながら見ていくと、そこはさすが熊井啓、最後までだらけさせず見せてくれる。
 酒場での奥田瑛二を挑発する秋吉久美子の胸の谷間に魅了されつつ、後半インドで見せる彼女の表情といい、代表作といってもいいだろう。
 痴呆症がかなり進んでいた三船敏郎の演技は痛々しいが、さすがにたたずんでいるだけで風格がにじみ出ていてすばらしい。