浅草新劇場にて『異聞猿飛佐助』(松竹大船1965:篠田正浩)を見る。1000円。
当時の忍者ブームを当て込んで製作されたのだろう。原作・中田耕二はよく知らないが、脚色・福田善之の演劇っぽい部分が出た作品。
生きるとは何か、戦のない平安とは何か、と常に沈痛な面もちで考えているような高橋幸治の佐助なんか見たくない。へんな理屈をこねまわして辟易してしまう。
ヒロイン・吉村実子というのも地味すぎる。地味な高橋幸治にとってはお似合いかもしれないが。唯一、よし!と思ったのが、ラスト、霧隠才蔵の登場である。佐助を助けた霧の中からニコニコと満面の笑みを浮かべてん現れた人こそ、だれあろう、石原慎太郎その人であった。彼の生涯で、ベストパフォーマンスと言っていいだろう。