『神様のカルテ』(2011:深川栄洋)を、ユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン10にて見る。6ポイント無的料(会員)、パンフレット600円。
すばらしい。深川栄洋監督、『洋菓子店コアンドル』に続いて、またまた快打!
患者によりそって悩み苦しむイチ(栗原一止)に扮した櫻井翔が実にいい。それをサポートする主任看護師の池脇千鶴がこれまたうまい。新人看護師・朝倉あきがイチに食ってかかるシーンの的確なさばき方、同世代の女優陣の中では群を抜いている。
どんな患者も引き受けてしまうイチにちょっと苛立ちを見せつつも冷静にテキパキと仕事をこなしていく救急外来看護師長・吉瀬美智子のかっこよさ。出世コースである医局への転勤を断ったイチへ怒りをぶつけつつもその真摯な生き方を認めている先輩医師・要潤、彼は見るたびに演技がうまくなっていると思う。
『半分の月がのぼる空』(2010:深川栄洋)に続いての医師役となる西岡徳馬、そして古狸先生の柄本明の両ベテランを巧みに操れる深川演出の凄さ。さらには外来患者たち、でんでん、山下容莉枝、斎藤歩、左右田一平、今井和子、らのいきいきとした芸達者ぶりを表情豊かに切り取った演出の手際よさ!
この作品のテーマを象徴するような御嶽荘の住人たち。絵が描けない画家である男爵=原田泰造。彼の声のよさにはいつもほれぼれさせられるが、今回は背中から哀愁ただよう演技に感心させられた。論文を書けない学士=岡田義徳。彼の好青年ぶりの中に潜む病的とも思える繊細さ、狂気さ、それらを巧みに演じている姿には、今回もまた脱帽である。
もう一人の住人、イチの妻・榛名に扮した宮崎あおいについては、もうなにも言うことはない。あの笑顔をみているだけで優しさにつつまれ癒される。
最後に安曇雪乃=加賀まりこである。泣けた、泣けた。『泥の河』(1981:小栗康平)以来30年ぶりの助演女優賞はこれで決定!
これら、すべてをひっくるめて演出した深川栄洋監督に乾杯!!
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