ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『響 HIBIKI』(2018:月川翔)












 『響 HIBIKI』(2018:月川翔)を、ユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン1にて見る。1000円。

 文芸雑誌「木蓮」新人賞応募要項を一切無視した作品のため破棄寸前の中から編集者・花井ふみに拾い上げられた「お伽の庭」。その圧倒的な文才に惚れ込んだ花井は新人賞応募作品として無理にねじ込む。
 その作者は15歳の現役女子高生・鮎喰響(あくい ひびき)。新人賞どころか、芥川賞直木賞のダブル受賞まで成し遂げる、、、。

 その天才的な文才は画面からは伝わり難いが、響の非常識な言動は充分に絵になる。さらに、その敵対的な行動は、不合理な事柄への反発であり、響にも一理ある。たとえば、読んでもいないのに批判する田中への怒り、友人・凛夏に対しての鬼島のセクハラまがいの言動、記者会見での花井ふみに対して矢野の嫌がらせ的な質問、等々。それらに対しての響の反撃は、スカッとさせられる。
 この作品、響を演じた平手友梨奈の圧倒的な無表情、そしてその中に垣間見える僅かな笑顔、この微妙なバランス感が最大の魅力である。
 画面がやけに緑っぽいな、と思ったらそれは月川翔監督の意図するもの。なかなか意欲的演出で、緊張感やら奥行感など、いい雰囲気であった。

 一見の価値あり。

2018年9月14日(金)鑑賞


        キャスト
平手友梨奈      鮎喰響
北川 景子      花井ふみ(「木蓮」編集部の編集者)
アヤカ・ウィルソン  祖父江凛夏(文芸部長2年生)
高嶋 政伸      神田正則(「木蓮」編集長)
柳楽 優弥      田中康平(「木蓮」新人賞受賞)
北村有起哉      鬼島仁(芥川賞作家)
野間口 徹      矢野浩明(週刊誌記者)
小松 和重      藤野弘(山本の担当編集者)
黒田 大輔      大坪正人(小論社の編集者)
板垣 瑞生      椿涼太郎(響の幼なじみ、文芸部部員)
吉田 栄作      祖父江秋人(世界的流行作家)
小栗  旬      山本春平(芥川賞受賞を狙う芥川賞4回ノミネート)
笠松  将      塩崎隆也(文芸部員2年生、硬派の不良タイプ)
河井 青葉      豊増幸(響と同時に芥川賞受賞)
山村 紅葉      「木蓮」新人賞最終選考委員
橋爪  淳      「木蓮」発行元の小論社社長
内田  慈      「木蓮」新人賞第一次選考委員
春海 四方      宅配ピザ店長(田中がバイトしていた)