ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『浮気旅行』(東京映画1956:杉江敏男)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて『浮気旅行』(東京映画1956:杉江敏男)を見る。49分の中編。
 まず、主演の河津清三郎が平社員という設定がめずらしい。お隣の公務員に比べて出張が全然ないと妻(南悠子)にちょっぴりぼやかれている河津清三郎
 ところがチャンス到来。部長の命令により、元社長の家に贈り物を届けることになる。しかも帰りは温泉にでも泊まってこいと言う。
 さっそく、バーの女給・津島恵子口説き落として、信州の山奥への一泊旅行へ。
 なんだかんだあって、結局二人は清い関係のまま終わる。なんとも爽やかな後味のいい終わり方である。それは津島恵子の清潔感にもよるが、小心者のサラリーマンを巧みに演じた河津清三郎の功績が大きい。
 それより何より、最大の功労者は、頑固親父で通っていた元社長・小堀誠とその妻・英百合子ではなかろうか。二人は、河津の課長で妻同伴という嘘を何もかもお見通しの上で、河津と津島をもてなしたのだろう。老夫婦の味のある仲の良さを見せることにより、暗に浮気を戒めたのだ。
 いやあ、いい映画であった。