『結婚三銃士』(新東宝1949:野村浩将)を、神保町シアターにて見る。「銀幕に甦るブギの女王 笠置シヅ子と服部良一 ふたりのブギウギ時代」特集の1本。1100円。上映はデジタル。
キネ旬の資料が72分となっているが実際は82分。東宝と新東宝のデータベースは82分となっている。
復員帰りの会田時彦がユーワ化粧品会社の宣伝部員募集に応募。運よく最後の1名に選ばれて、社長の面接。「妻はいないか、恋人はいないか、恋愛はご法度」と言われ、「妻も恋人もいません」と断言してしまう。
採用された帰り、恋人・愛子と待ち合わせ。おしゃれな喫茶店でショートケーキ。月給1万円と聞いて、「大丈夫なの?怪しい会社じゃないの」と心配する彼女。そこへ、小村輝美が入ってくる。「学校時代の同級生よ。ユーワ化粧品会社社長の姪御さん」と紹介され、社長に恋人がいることが知られてしまう、と心配する時彦。
仕事は順調。けれど、お得意さんとなったキャバレー女給・百合と踊りのお師匠さん・君子との恋のさや当てに参ってしまう。さらに化粧品会社の工場長・輝美も加わる。女性3人は時彦と愛子の関係を温かく見守る、という紳士協定ならぬ女性同士で誓い合う。
しかし、愛子はお金持ちの島田に乗り換えてしまい、あっさりとふられる時彦。それではと、百合と君子のアタック開始。輝美は同じ会社なんだから不公平、と言われ身を引きかける。
最後は、社長命令で時彦と輝美の結婚式が挙げられ、百合と君子も祝福する。
笠置シヅ子はキャバレーの女給、そして歌手として1曲披露する。恋する役柄なので、ややお淑やかな面も見せている。森赫子は『残菊物語』(1939:溝口健二)の頃に比べたら、かなり精彩を欠いていた。それもそのはず、目の病気にかかっていて、この作品のあと、視力が急激に低下して、1956年には完全に失明してしまった。
高杉早苗は戦前に結婚・出産して戦後復帰しての3作目。往年の輝きはないものの、堂々たるヒロインぶりであった。
日比谷の映画街、新橋駅、熱海駅、などの1949年風景がたっぷり見ることができて満足。
2023年9月10日(日)鑑賞
スタッフ
監 督 野村 浩将
脚 色 柳井 隆雄
〃 池田 忠雄
原 作 中野 実
製 作 児井 英男
撮 影 三村 明
美 術 進藤 誠吾
音 楽 服部 良一
録 音 根岸 寿夫
照 明 大沼 正喜
主題歌 笠置シヅ子「あなとならば」
〃 奈良 光枝「乙女雲の唄」
主題歌・作詞 藤浦 洸
主題歌・作曲 服部 良一
監督助手(チーフ) 萩原 章
補助撮影 横山實之助
編 集 笠間 秀敏
製作主任 山本喜八郎
公開年月日:1949.03.21
上映時間:82分
モノクロ/スタンダード/35mm
製作会社:新東宝
配給:東宝
キャスト
上原 謙 会田時彦
高杉 早苗 小村輝美(社長の姪、ユーワ化粧品工場長)
笠置シヅ子 百合(キャバレーの女給兼歌手)
森 赫子 君子(時彦の幼なじみ、踊りの師匠)
若原 春江 愛子(時彦の恋人→島田と結婚)
清川 虹子 ユーワ化粧品社長・小村女史
杉 寛 支配人・鷲尾(ユーワ化粧品)
江見 渉 島田青年(新興成金)
水谷 眞子 ユーワ化粧品・面接担当事務員
清川 玉枝 別荘(熱海)のばあや
小柳 久子 時彦が住むアパートのおばさん
三條利喜江 愛子の母
樂團クラックスター
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