ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『真夏のオリオン』(2009:篠原哲雄)





 ユナイテッド・シネマ豊洲シアター6にて『真夏のオリオン』(2009:篠原哲雄)を見る。1300円(前売り券)、パンフレット600円。
 チラシやポスターのクレジットは原案者の福井某がでかでかと目立ち、監督の名前は他のスタッフと横一列、誰が監督だかわからない扱い。大丈夫かなとちょいと不安だったが、そんな心配は必要なかった。見事なまでの人間ドラマが展開されている。
 特に玉木宏艦長のあの笑顔に、どれだけ救われたことだろうか。鈴木瑞穂じゃなくとも、誰もが心酔してしまうことだろう。
 なぜ潜水艦乗りを希望したかと問われ、玉木宏が答える。「出航したら、すべては自分の判断で行動しなければならない。それができる自由があるから」と。我々は、いかに理不尽な作戦命令により、無駄死にした戦争映画を見せられてきたことか。
 この自由を勝ち得るには、強靭な肉体と精神力、明晰な頭脳を持ち合わせていなければできない。それらを兼ね備えているのが、玉木宏艦長なのだ。だからこそ、血気にはやる回天の搭乗員たちに、「もったいないじゃないですか」と犬死にを思いとどまらせることもできたのだ。
 篠原哲雄監督、素晴らしい作品をありがとう。今度、久しぶりに飲みましょう。