ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『日輪の遺産』(2011:佐々部清)




 『日輪の遺産』(2011:佐々部清)を、角川シネマ有楽町にて見る。1000円(水曜日)、パンフレット700円。
 近衛第一師団少佐・真柴司郎(堺雅人)、東部軍経理部主計中尉・小泉重雄(福士誠治)、座間五百一連隊曹長・望月庄造(中村獅童)、この3人のコンビネーションが実にいい。堺雅人の冷静沈着に命令を遂行する隊長ぶり。最近は汚れ役にも挑戦しつつある福士誠治の頭脳明晰な参謀ぶり。そして苦労人・中村獅童が見せる鬼にもなれば仏様になる百戦錬磨の古武士を思わせるたたずまい。
 さあ、この3人が日輪の遺産=900億円(現在だと200兆円)の財宝を艱難辛苦の末に無事、運びだし隠せるか、大冒険活劇の始まり始まり。と、思いきや、あれ!何の妨害もなく、淡々と運びだしを終えて、地下壕へと財宝は無事に隠匿終了。
 やはり、この映画のテーマは、軍の機密保持のために、13~14歳のうら若き乙女たちが理不尽にも死ななければならなかった悲劇、だったのか。それにしては、たいした葛藤もなく、あっという間にみんな死んでしまった。見る側に感情移入する暇もない。
 だいたいこの作品、八方美人的にあれもこれもとつめこみ過ぎである。ミッキー・カーチスのくだりは思い切ってカット。八千草薫麻生久美子などの登場シーンは、プロローグ、エピローグだけにとどめ、それもほんの少しの時間だけ。せっかく出てもらうのだから、出番を多くして、などと妙な気の使い方をしているから、何を描きかったのかよくわからない作品になってしまったのだ。
 浅田次郎原作は人気らしく、たびたび映画化されているが、『鉄道員<ぽっぽや>』(1999:降旗康男)以外、成功例なし、というジンクスはまたしても破ることはできなかった。残念!

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