ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『バンクーバーの朝日』(2014:石井裕也)








 『バンクーバーの朝日』(2014:石井裕也)をユナイテッド・シネマ豊洲スクリーン8にて見る。1000円、パンフレット720円。
 戦前、カナダ・バンクーバーにて日系二世のアマチュア野球チームが身体のデカい白人たちのチーム相手に互角に闘ったお話。
 野球の試合が始まるまで、移民たちの苦難に満ちた生活ぶりが丁寧に描かれている。とは言っても、妻夫木聡高畑充希兄妹の家族が中心で、亀梨和也上地雄輔の家族はさらりとしか描かれていない。まして、勝地涼池松壮亮に至っては、家族の存在は描かれていない。
 これでもかというくらいに暗く淡々とした日常描写に飽きがきたころになって、やっと野球シーズンの開幕。さあ、これで、今までの白人たちに虐げられていたウップンを、スカッと晴らしてくれるかと思いきや、、、。さにあらず、頭脳プレーでの僅差勝利にも、喜びの爆発はない。「あれっ、勝っちゃった」というとまどいの喜びである。これはその後の勝利の快進撃でも、あまり変わらない。
 『舟を編む』『ぼくたちの家族』でのしっかりとした演出力で、この大作をしっかりとエンターテイメントとして成功させれば、いよいよ大監督への道まっしぐら、と期待したのだが、、、。
 若干31歳の石井裕也監督、ちょっと小休止でした。やはり、社会正義を主張しながらも最高級の娯楽作品を仕上げた山本薩夫監督のレベルに到達するには、まだまだ時間がかかりそうです。
 今回は、セットの大きさ、大勢の人物の出し入れに気を取られて、肝心の主人公たちの描写がやや緩んでしまったようだ。残念!