ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『ゴキブリ刑事』(石原プロ=東宝1973:小谷承靖)

 『ゴキブリ刑事』(石原プロ東宝1973:小谷承靖)は、長らく見逃していた作品。といっても何が何でも見たかったわけではない。だからこそ、今まで何度もチャンスがありながら、見逃してしまったわけだ。公開から33年ぶりにやっと見ることができたという達成感のみ。
 ゴキブリ=ヤクザを撲滅させることが生きがいの刑事(渡哲也)が、新興開発地区の茨城県鹿島を舞台に活躍するお話。この頃(日活倒産以後)の渡哲也は、やけにとんがっていてあまり好きではない。
 鹿島で思い出したのが『甦える大地』(石原プロ1971:中村登)。鹿島を臨海工業地帯に理想に燃えて変貌させた男たちのお話だが、この『ゴキブリ刑事』はその後日譚ともいうべきもの。理想とは裏腹に開発してみたら、ヤクザがはびこってしまったということ。『甦える大地』で大企業の提灯持ちをしてしまった石原プロとしては、その罪滅ぼしとして『ゴキブリ刑事』では悪を滅ぼすヒーローを登場させたということか。でも、完全に悪を撲滅させたわけでもない幕切れになんともすっきりしない作品でした。