ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『ブタがいた教室』(2008:前田哲)





 ユナイテッド・シネマ豊洲シアター10にて、『ブタがいた教室』(2008:前田哲)を見る。上映後の舞台挨拶付き1200円。パンフ600円。
 子どもたちの表情が実にすばらしい。生き生きとしている。特に「Pちゃんを食べる、食べない」のディベートシーンは、演技を超越した全編アドリブの応酬で真剣そのもの。涙を流している子どもがほとんどで、感動してしまった。
 これこそ、文部科学省特選映画として、全国の小中学生にみせるべき作品である。
 子どもたちのひとり・甘利はるなは、前作『コドモのコドモ』のヒロインに引き続いての好演。素人っぽい演技が好感をもてる。
 星先生を演じた妻夫木聡もすばらしい。ほんもの以上の教師で、セリフもほとんどアドリブの自分で考えた言葉であり、こどもたちを完全に掌握しているようだ。
 また、校長先生に扮した原田美枝子がこれまたいい。母親たちの抗議をやんわりとなだめ、「こどもたちが信頼している星先生を私も信じます。お母さんたちもあたたかく見守ってあげてください」と頭を下げる。こんな校長がいる学校は実にいい。涙が止まらなかった。
 舞台挨拶は妻夫木聡と前田哲監督との漫才を見ているようで楽しかった。自分の考えをしっかり発言できる妻夫木聡がますますお気に入りになった。軽いノリの前田哲監督がこんな感じで子どもたちを演技指導しているのかと想像され、もうこれからの前田監督の新作は見逃すまいぞ、と誓ったのであった。