『太平洋奇跡の作戦　キスカ』(1965：丸山誠治)

　『太平洋奇跡の作戦　キスカ』(東宝1965：丸山誠治)を、国立映画アーカイブ2F 長瀬記念ホールOZUにて見る。６月24日(金)から始まった「東宝の90年モダンと革新の映画史(1)」の１本。310円。

太平洋奇跡の作戦キスカ(104分・35mm・白黒)
　1943年の日本海軍のキスカ島撤退作戦を題材にした守備隊5000名の救出劇。作戦立案の苦渋を経て冷静沈着に指揮する大村少将(三船)のもと、救出に向かう各艦とそれを待つ守備隊の双方のドラマが交錯する。特撮シーンのリアリティを出すため白黒撮影を選択。丸山誠治は本作で評価され、以降の戦記大作を担った。特攻隊員としての従軍経験を持つ脚本家の須崎勝弥は、丸山や松林宗恵と組んで多くの戦争映画を手がけた。
以上、国立映画アーカイブの解説より

　２回目か３回目。何度見ても痛快な作品。
　満州事変からの日中戦争、そして太平洋戦争での日本軍は、負け戦がほとんどで、内容も暗く悲惨なものが多い。この映画は違う。勝ち戦ではないが、負け戦でもない。
　アリューシャン列島のキスカ島守備隊5200名をアメリカ艦隊が包囲する中を無事に救出するお話。救出する三船敏郎、中丸忠雄、田崎潤、稲葉義男、伊藤久哉などの面々。救出を待つ藤田進、土屋嘉男、平田昭彦などの面々。お互いを信じて、淡々と目の前の仕事をこなしていく誠実な心意気。
　米軍機の爆撃や機銃掃射などで亡くなった遺骨と共に、5181名全員がたった55分で艦隊に救出される痛快さ。團伊玖磨の音楽も、最初から最後まで、明るく軽快なキスカのマーチで統一しているのもうれしい限り。
　とにかく、悲惨な戦争を一瞬だけ忘れさせてくれる、清涼剤のような作品である。
2022年７月17日(日)鑑賞

　　　　　スタッフ
監　督　　　　　　　丸山　誠治
脚　本　　　　　　　須崎　勝弥
製　作　　　　　　　田中　友幸
　〃　　　　　　　　田実　泰良
撮　影　　　　　　　西垣　六郎
照　明　　　　　　　西川　鶴三
美　術　　　　　　　北　　猛夫
音　楽　　　　　　　団　伊玖磨
録　音　　　　　　　西川　善男
編　集　　　　　　　藤井　良平
整　音　　　　　　　下永　　尚
監督助手（チーフ）　坂野　義光
音響効果　　　　　　金山　　実
製作担当者　　　　　古賀　祥一
特技監督　　　　　　円谷　英二
撮影（特撮）　　　　有川　貞昌
撮影（特撮）　　　　富岡　素敬
光学撮影　　　　　　真野田幸雄
光学撮影　　　　　　徳政　義行
美術（特撮）　　　　渡辺　　明
美術（特撮）　　　　岸田九一郎
合　成　　　　　　　向山　　宏
監督助手（特撮・チーフ）
　　　　　　　　　　中野　昭慶
製作担当者（特撮）　小池　忠司
監督助手　　　　　　渡辺　邦彦
　〃　　　　　　　　吉松　安弘
　〃　　　　　　　　小林　　理
撮影助手　　　　　　永井　仙吉
　〃　　　　　　　　宝田　武久
　〃　　　　　　　　小林　　博
　〃　　　　　　　　牧村　寿夫
照明助手　　　　　　佐藤幸次郎
　〃　　　　　　　　江夏　昭三
照明準備・照明機材　高田　　明
　〃　　　　　　　　平間　重和
特殊機械・特機　　　田中　豊夫
　〃　　　　　　　　加瀬　和男
美術助手　　　　　　石田　良之
　〃　　　　　　　　菊池　　昭
大道具班長　　　　　柴田　春雄
　〃　　　　　　　　水上　岩雄
大道具（組付）　　　石井　常男
小道具　　　　　　　野島　秋雄
　〃　　　　　　　　樋口十九一
　〃　　　　　　　　富沢　寅雄
電　飾　　　　　　　山口　　清
衣　裳　　　　　　　池田　　誠
記　録　　　　　　　黒岩美穂子
スチール　　　　　　吉崎　松雄
作品係　　　　　　　吉竹　悠一
　〃　　　　　　　　中須　英男
経理担当　　　　　　徳増　俊郎
宣伝係・宣伝　　　　島　健三郎
製作係　　　　　　　篠田　啓助
光学撮影　　　　　　川北　紘一
美術助手（特撮）　　白崎　治郎

主題歌：キングレコード
主題歌作詞：横井　　弘
主題歌作曲：団　伊玖磨
現像：キヌタ・ラボラトリー
公開年月日：1965.06.19
上映時間：104分
製作会社：東宝
配給：東宝
千早正隆「太平洋海戦最大の奇跡」より
資料：「霧の孤島」元第五警備隊軍医長　小林新一郎　著
　／「手記」元第一水雷戦隊先任参謀　有近六次述
写真：「記録写真太平洋戦争史」光文社版

　　　　　キャスト
三船　敏郎　　　　大村少将(第一水雷戦隊司令官)
山村　　聰　　　　川島中将(第五艦隊司令長官)
志村　　喬　　　　軍令部総長
西村　　晃　　　　軍令部赤司参謀
佐藤　　允　　　　天野少佐(イ七号潜水艦艦長)
久保　　明　　　　俵少尉(イ七号潜水艦砲術長)
桐野　洋雄　　　　イ号七潜水艦先任将校
中丸　忠雄　　　　国友大佐(第五艦隊作戦参謀)
田崎　　潤　　　　阿久根大佐(阿武隈)
稲葉　義男　　　　玉井中佐(阿武隈)
船戸　　順　　　　三上少尉(阿武隈)
児玉　　清　　　　福本少尉(阿武隈・気象予報担当)
小川　治彦　　　　阿武隈ガンルーム士官Ａ
伊吹　　徹　　　　阿武隈ガンルーム士官Ｂ
山田　　彰　　　　阿武隈ガンルーム士官Ｃ
広瀬　正一　　　　山下平八郎水兵長(阿武隈)
伊藤　久哉　　　　木曽艦長
金沢　重勝　　　　島風艦長
手塚　勝巳　　　　秋雲艦長
向井淳一郎　　　　第五艦隊通信参謀
大友　　伸　　　　軍令部Ｂ参謀？or五艦隊機関参謀？
草川　直也　　　　五艦隊機関通信参謀
坪野　鎌之　　　　第五艦隊機関参謀
岡部　　正　　　　一水戦参謀２
藤田　　進　　　　秋谷司令官(キスカ島)
土屋　嘉男　　　　寺井先任参謀(キスカ島)
平田　昭彦　　　　工藤軍医長(キスカ島)
黒部　　進　　　　加藤一水
堺　左千夫　　　　小島主計兵長(キスカ島)
山本　　廉　　　　分遣隊長(キスカ島)
二瓶　正也　　　　中村上水(キスカ島)
佐田　　豊　　　　佐野一曹(キスカ島)
大塚　国夫　　　　茂木中尉(キスカ島傷病兵)
石田　茂樹　　　　松原二曹
岡　　　豊　　　　宮本水警隊長
荒木　保夫　　　　若月電探士
阿知波信介　　　　阿部上水
長谷川　弘　　　　防空隊長
堤　　康久　　　　主計長
大前　　亘　　　　通信士
古田　俊彦　　　　
当銀長太郎
中山　　豊　　　　
小川　安三　　　　
鈴木　和夫　　　　
鹿島　邦義　　　　