ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『阿部一族』(1938:熊谷久虎)




 『阿部一族』(東宝映画東京1938:熊谷久虎)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)・小ホールにて見る。10月4日より始まった「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」の1本。再々々見。

 『阿部一族』(105分・35mm・白黒)
 日活多摩川の一翼を担った熊谷久虎東宝入社第1作。肥後藩主の死去に際して殉死を許されなかった阿部一族の武士たちは、その後の処遇に反旗を翻すも次第に窮地に立たされてゆく。全篇にわたり夜の陰影を繊細に捉えた映像美が印象的で、緻密な時代考証を導入した重厚な歴史映画となった。河原崎長十郎中村翫右衛門以下、前進座の俳優たちが総出演した。
以上、NFAJの解説より。

 戦前の時代劇俳優陣は、明治・大正時代生まれがほとんどで、それだけ江戸時代の武士や町人に近い。ずんぐりむっくり、顔もゴツゴツしていて、リアルそのもの。
 城内や武家屋敷の重厚感、新殿様に拝謁する大広間の壮大さ、その人数の多さ。
 阿部一族4家族とその使用人たちが集合する、これまた数十人もいる、スゴイ!
 その屋敷に一斉に攻め込む藩士たち。斬り合いのなかを屋敷外へと出た仲間や使用人たちを鉄砲で撃ち殺す非情さ。
 殉死制度の愚かさ、武家社会の非情さ、何度見ても、そのテーマの重さ、作品全体の重厚さに圧倒される。
2022年10月5日(水)鑑賞

     スタッフ
原 作      森  鴎外
演 出      熊谷 久虎
脚 色      熊谷 久虎
 〃       安達 伸男(→安達伸生)
音 楽      深井 史郎
撮 影      鈴木  博
装 置      北  猛夫
録 音      安惠 重遠
編 集      今泉 善珠
製 作      武山 政信
製作主任     大岩 弘明
演出助手     安達 伸男(→安達伸生)
 〃       加藤 泰通(→加藤泰)
演奏:P.C.L.管絃樂團
公開年月日:1938.03.01
白黒/スタンダード
上映時間:105分
製作:東宝映画・東京=前進座
配給:東宝映画

     キャスト
河原崎長十郎    柄本又七郎
山岸しづ江     又七郎の妻・登枝
中村翫右衛門    阿部弥五兵衛(次男)
橘 小三郎     阿部権兵衛(長男)
堤 眞佐子     柄本家の女中・お咲
市川笑太郎     阿部弥一右衛門(五兄弟の父)
一ノ瀬ゆう子    権兵衛の妻・お浪
市川進三郎     阿部一太夫(三男) (市川進三郎→若宮忠三郎)
山崎島二郎     阿部五太夫(四男)
市川 扇升     阿部七之丞(五男)
市川 莚司     仲間・多助 (市川莚司加東大介)
岩田富貴子     五太夫の妻
原 緋紗子     一太夫の妻
岬 たか子     乳母
河原波留子     下女
中村 鶴藏     畑十太夫(目付)
嵐 芳三郎     竹内数馬(討手の指揮)
坂東調右衛門    天祐和尚
市川楽三郎     小林左兵衛
瀬川菊之丞     仲間・萬作
助高屋助蔵     高見
嵐  敏夫     高見の小姓
市川菊之助     内藤長十郎
平塚ふみ子     長十郎の妻
伊藤 智子     長十郎の母
伊東  薫     長十郎の弟
生方  明     細川光尚
山崎 進蔵     大目付・林外紀 (山崎進蔵河野秋武)
中村進五郎     津崎五郎
市川 章次     籔市正
小坂 信夫     松野
中村公三郎     関
市川岩五郎     家老
山崎長兵衛     家老
榊田 敬治     家老
澤村比呂志     侍
澤村千代太郎    侍
坂東みのる     仲間
瀬川 花章     仲間
中村 栄二     井原

受賞歴:第15回キネマ旬報ベスト・テン第8位


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