ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『乙女シリーズ その一 花物語 福壽草』(新興キネマ1935:川手二郎)



以上、『乙女シリーズ その一 花物語 福壽草』(新興キネマ1935:川手二郎)より


 『乙女シリーズ その一 花物語 福壽草』(新興キネマ1935:川手二郎)を、国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZUにて見る。「サイレントシネマ・デイズ2023」の1本。310円。

乙女シリーズ その一 花物語 福壽草(67分・24fps・35mm・無声・白黒・英語字幕付 with English subtitles)
1935(日本:新興キネマ)(監・脚)川手二郎(原)吉屋信子(脚)荻野賴三(撮)中井朝一(美)久光五郎(出)江川なほみ、久松美津江、岡崎光彦、林喜美枝、髙倉惠美子
 吉屋信子少女小説を原作に、繊細な乙女の心情と年上女性との友愛を描く。女学生の薫(江川)は兄嫁となった美代子(久松)を慕うが、親密な日々は続かず、不況や戦争の暗い影が近づく。「生駒山麓の伝説のコレクター」安部善重氏旧蔵フィルムから発掘された作品。サウンド版として作られたが、現存プリントは無声版である。
以上、国立映画アーカイブの解説より

 おなじみ吉屋信子原作の乙女チックな同性愛的なお話。薫の兄・満雄に嫁が来る。薫は会う前から「お姉さん」と恋焦がれ、会ってからは益々愛情が深まる。兄嫁の美代子も「かわいい妹」と相思相愛。でも、夫・満雄とも仲睦まじい。そんな夫婦のイチャイチャを見るにつけ、薫は嫉妬し、そのイライラを兄にぶつけたりする。
 兄が投資した銀行が破綻、そのあおりで、村長を務めていた一家は破産。同じ頃、兄嫁・美代子が肺結核にかかり療養生活に入る。薫は女学校の卒業記念バザーで、祖父が大事にしていた福寿草の盆栽を100円の値札をつけて出品。1935年当時の1円が現代だと2000~3000円ぐらいの価値とすると、最低でも20万円ぐらいかな。本心は大事な福寿草を人手に渡したくない、それぐらの値札をつければ、誰も買わないだろう、と。
 上流階級一行がやって来て「もう少し負けなさいよ」とすったもんだのやり取り。そこへ、療養中の美代子がやって来て、100円札を出す。薫と美代子の歓喜の抱擁。でも、美代子はそのまま倒れ、療養所へ。やがて息を引き取る。女学校を卒業した薫は大陸へと旅立つ。
 現代的な味付けをしたら、今でも充分に楽しめる内容であった。
 兄に扮した岡崎光彦、端正な美男子でイキイキと輝いていた。その後の活躍は、と調べたら、なんと吉頂寺光(きっちょうじ ひかる)の別名。1906年生まれ(本名・岡崎光→岡崎光彦)で、1926年高松プロから吉頂寺光の芸名で映画デビュー。1927年、松竹蒲田に入り吾妻三郎の名前で時代劇スターとなる。1928年には東亜キネマに移って吉頂寺光の名前に戻る。1930年、帝国キネマに移籍、1931年に新興キネマになり、時代劇出演時は吉頂寺光の名前で、現代劇出演時は岡崎光彦の名前で活躍。
 戦後は東宝と専属契約して、吉頂寺晃の名前で脇役出演。1980年頃まで活躍したが、没年は不明。
2023年10月6日(金)鑑賞

       スタッフ
監 督        川手 二郎
脚 本        萩野 頼三
 〃         川手 二郎
原 作        吉屋 信子
撮 影        中井 朝一
美 術        久光 五郎
公開年月日:1935.03.07 電気館/新宿帝国館/麻布新興館/牛込館/新富座
8巻/白黒/サウンド
製作=新興キネマ(東京撮影所)

       キャスト
江川なほみ      坂本薫
久松美津枝      薫の嫂美代子
岡崎 光彦      薫の兄満雄
大泉 慶治      薫の父村長さん
花房 銀子      薫の学友春日公子
林 喜美枝      薫の学友阿部ツヤ子
小松 峰子      舎監先生
木村 潤子      知事夫人
上田  寛      写真屋
新見 映郎      碁敵のおじさん
ジョウ・オハラ    人のいいおじさん
星 ルリ子      木下政子
小島 洋々      校長

にほんブログ村ランキングに参加しています。
下記 ↓ のバナーをクリックしてください。
ブログのランキングが表示されたら、下部の「ぴくちゃあ」ロゴを再度クリックしてください。
ランキングアップに協力お願いします。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 映画ブログ 日本映画(邦画)へ
にほんブログ村

にほんブログ村 映画ブログ 映画監督・映画俳優へ
にほんブログ村