ラピュタ阿佐ヶ谷にて『わが闘争』(松竹1968:中村登)を見る。
冒頭、祖父・吉田義夫の梅毒の血を受け継いで気が触れてしまう長女・岩本多代を見て、ちょっと感慨に浸る。なぜって、彼女は現在、テレビドラマの世界では、優しいおばあちゃんとして売れっ子なんだから。今放送中のNHK朝ドラ「芋たこなんきん」にも徳永家の5人の子どものおばあちゃんとしてレギュラー出演している。
その若き岩本多代の死を看取った幼い妹たちが、成長して佐久間良子、香山美子、加賀まり子になるわけである。
主人公である佐久間良子は、世の中や男に対して挑戦的であり、闘争的である。ただ、それは前半だけで、男と結婚してしまうと、ただの女になってしまう。それも、佐久間良子が演じるのだから、彼女の素の部分が前面に出てきて、ほんとにいい奥さんになっていました。
これって、『わが闘争』というタイトルから遊離してしまう。そんなわけで、梅毒遺伝の危険を承知で子どもを出産したことが、『わが闘争』かいな?なんとも大げさなタイトルの割には、松竹らしい小市民的な結末だなあ、、。