ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『安宅家の人々』(大映東京1952:久松静児)

 神保町シアターにて『安宅家の人々』(大映東京1952:久松静児)を見る。「昭和の庶民史・久松静児の世界with時代劇小特集」の1本。1200円。
 今回の特集で最大の目玉がこの作品である。期待に違わずなかなか見応えある作品。純粋無垢な船越英二の演技と百万ドルのえくぼ・乙羽信子の笑顔を見ているだけで心が洗われるようである。
 物語をピシッと引き締めるのが田中絹代。クレジットタイトルは、1枚目が乙羽信子三條美紀、ちょっと離して左端に田中絹代の順番。これはセールス上の序列で、主役は田中絹代である。彼女が精薄な夫・船越英二に代わって広大な牧場や屋敷を切り盛りする。妻としての役割はあきらめていたのに、乙羽信子の出現で見せる女心。うまいもんである。