ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『黒と赤の花びら』(大宝1962:柴田吉太郎)

 新橋TCC試写室にて、『黒と赤の花びら』(佐川プロ製作、大宝配給1962:柴田吉太郎)を見る。新東宝ファンの16㎜プリント自主上映。80分作品。1800円。
 新東宝倒産(1961年)後、わずか3ヶ月の命だった配給会社の大宝映画。そこが、
『狂熱の果て』(佐川プロ1961:山際永三)、
『黒い傷あとのブルース』(佐川プロ1961:小野田嘉幹)、
『飼育』(パレスフィルムプロ1961:大島渚)、
『大吉ぼんのう鏡』(シナリオ文芸協会1962:猪俣勝人)、
と、4本配給しての5本目が『黒と赤の花びら』である。これを最後に大宝という会社も解散してしまう。
 今回は、16㎜レンタル会社のリストに眠っていた作品を、若者たちが引っ張り出してきて上映したものである。若者たちとは言っても、私より若いというだけで、30代~40代の3名(?)である。
 私が、かつて自主上映をやっていた頃は、みんな20代前半。30代、40代なんてものすごいジジイに見えて、映画館にも自主上映にもあまり見かけなかった。それが今や、フィルムセンター、新文芸坐ラピュタ阿佐ヶ谷神保町シアターなどは、60代~80代の老人天国と化している状況である。かつて企業戦士・家庭婦人だった人たちが映画に足を運ぶことはうれしいことではある。しかし、今の若者(10代~20代)たちはどうしちゃったんだろうか?
 てなことを、集まった50人近い人々を眺めながら思ってしまう。
 作品の内容は、と言うと、船舶遭難事故に疑問を抱いた保険会社の調査員・天知茂が、次から次へとところてん式に事件に巻き込まれていくというお話。メリハリもなくダラダラと夜を中心にお話が展開していき、暗く澱んでいてとても褒められた作品ではない。
 見所は、ヒロイン・上月左知子ぐらいかな。クールビューティっぽい雰囲気で天知茂の相手役としてお似合いであった。宝塚を退団したあとの本格的な映画出演の最初かもしれない。
 とりあえず、貴重な作品を見ることができ、若い3人に感謝、感謝。