以上、『八十八年目の太陽』(東宝映画東京1941:滝沢英輔)より
『八十八年目の太陽』(東宝映画東京1941:滝沢英輔)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)長瀬記念ホール OZUにて見る。7月30日(火)から始まった「返還映画コレクション(2)第一次/二次・劇映画篇」Repatriated Film Collection [Part 2] : Fiction Films, 1928~1945」特集の1本。310円。
八十八年目の太陽(101分・35mm・白黒)
1941(東宝映画・東京)(監)瀧澤英輔(原)高田保(脚)澤村勉(撮)鈴木博(特殊撮影)圓谷英二(美)中古智(音)伊藤昇(出)徳川夢声、英百合子、大日方傳、霧立のぼる、佐伯秀男、花井蘭子、若原春江
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高田保の戯曲を原作として、日中戦争のさなかに海軍省の後援によって製作された。統制下での浦賀ドックの様子が克明に収められている。浦賀ドックで帝国海軍の駆逐艦の造船に従事する深見鉄平(徳川)は、東京から帰った長男(大日方)ら家族とともに戦時体制下の困難に立ち向かっていく。
(以上、国立映画アーカイブの解説より)
初見。
題名の『八十八年目の太陽』の意味は、アメリカのペリー提督が軍艦4隻を率いて浦賀に来航し、開国を迫った1853年(嘉永6年)から88年目。今日では世界にひけをとらない海軍力を擁するまでになった感懐をうたったもの。新国劇の戯曲の映画化。
家を出て音楽の道を歩んできた長男・浩吉。十数年ぶりに妻子とともに浦賀に戻ってくる。音楽の道をあきらめ、造船所の工員として生きていく決心をするお話。
造船所の労働風景をドキュメンタリーとしてうまく取り入れていてリアルである。それにしても、駆逐艦の納品が早まったとはいえ、連日5時間の残業は過酷である。8時始業、17時終業の8時間労働+5時間ということは、22時まで働きづめ。いくら造船所の近くに社宅があるからとはいえ、帰って寝るだけの生活。造船所の敷地も広いから、昼食時の食堂への移動は往復10~20分はかかりそう。時間を惜しむ人は作業現場近くで弁当を食べている。
ラスト、東京へ戻っていった浩吉が、熟練工120人ぐらいを引き連れ、造船所の救世主として舞い戻ってくる。たった4か月の新人工員がどんな伝手があったのだろう。ちょっと話を端折りすぎているというか、ご都合主義というか、、、。
※陽炎型駆逐艦13番艦「浜風」は、浦賀船渠で1939年11月20日起工。1940年11月25日進水、1941年6月30日に竣工。『八十八年目の太陽』では架空の駆逐艦「ハヤカゼ」として登場し、そのドキュメンタリー部分を「ハマカゼ」の進水式、竣工式が使用されているようだ。
2024年8月14日(水)鑑賞
スタッフ
監 督 滝沢 英輔
製 作 森田 信義
製作主任 田尻 繁
原 作 高田 保
脚 色 沢村 勉
撮 影 鈴木 博
照 明 大沼 正喜
美 術 中古 智
編 集 後藤 敏男
音 楽 伊藤 昇
演 奏 P.C.L.管絃楽団
特殊撮影 円谷 英二
現 像 西川 悦二
後 援 海軍省
協 力 浦賀船渠
公開年月日:1941.11.15
上映時間:102分
モノクロ/スタンダード/35mm
製作会社:東宝映画(東京撮影所)
配給:東宝映画
キャスト
徳川 夢声 深見鉄平(旋盤係長、三笠の水兵)
英 百合子 妻・ふで
大日方 伝 長男・浩吉
霧立のぼる 妻・光枝
佐伯 秀男 次男・桐勝(熟練工→出征)
花井 蘭子 妻・萬亀<まき>
若原 春江 長女・早苗
菊池 芳夫 三男・高雄
丸山 定夫 森島肇(造船所青年学校の校長先生、三笠の分隊長)
清川 荘司 石坂英信(課長、鉄平の隣組)
伊藤 智子 妻
大川平八郎 田代豊信(造船係長、早苗の縁談候補)
中村 彰 岐多啓作(桐勝の同期、早苗と相思相愛)
北沢 彪 中尾庸三(鉄平の部下)
小杉 義男 荒井茂蔵(田代の部下、光吉の指導先輩)
御橋 公 監査部長
真木 順 錦田宏次
汐見 洋 所長
深見 泰三 庶務課長
進藤英太郎 造機部長
榊田 敬二 造船部長
高堂 国典 旋盤工場長
石黒 達也 井田中佐(駆逐艦「ハヤカゼ」艦長)
鬼頭善一郎 海軍主席監督官
小島 洋々 海老原次郎
三木 利夫 その息子
藤輪 欣司 本庄哲夫
佐山 亮 佐山満
光 一 菅原一平(引き抜き業者)
冬木 京三 工員
龍崎 一郎 工員(セリフあり)
木下 陽 工員
島 壮児 工員
花澤 徳衛 工員(セリフあり)
柳谷 寛 工員
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