ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『むかしの歌』(1939:石田民三)


 『むかしの歌』(東宝京都1939:石田民三)を、国立映画アーカイブ2F 長瀬記念ホールOZUにて見る。6月24日(金)から始まった「東宝の90年 モダンと革新の映画史(1)」の1本。310円。

むかしの歌(77分・35mm・白黒・英語字幕付 with English subtitles)
 『花ちりぬ』に続いて森本薫のシナリオによる明治もの。大阪・船場の船問屋のいとはんお澪(花井)は、ある日出会った貧乏士族の娘お篠(山根)を妹のようにかわいがり面倒をみているが、西南戦争に伴う家の没落でお篠は芸者に出されてしまう。花井蘭子は出生の秘密を抱えた複雑な役を見事に演じており、花街に生きる女の哀歓を描くラストシーンが素晴らしい。許嫁の珊次(藤尾)のぼんちぶりも絶品。
以上、国立映画アーカイブの解説より

 >>西南戦争に伴う家の没落でお篠は芸者に
という解説は、お篠ではなく、お澪が正しい。多分、今回見た観客から訂正依頼が入り、近日中にホームページ上では変更されるかな?

 ともあれ、初見が1974年10月18日(金)で、今回が2回目。
 『花ちりぬ』で堂々たる主演ぶりを見せた花井蘭子、この作品では前作以上の絶対的主演ぶり。
 勝気ないとはん・お澪、その明るさの裏側には出生の秘密があり、その現実に直面した時の動揺ぶり。繊細な演技で明と暗、巧みな演じ分けでひと皮もふた皮もむけた花井蘭子の代表作誕生である。
 妹・お篠に扮した山根壽子と並ぶと、戦後の新東宝作品『細雪』(1950:阿部豊)での四姉妹(花井蘭子、轟夕起子、山根壽子、高峰秀子)を思い出してしまった。
 山根壽子の父親に扮した高堂黒天、精悍な顔つきで何者? と思ったら高堂国典であった。1939年に東宝に入って数年間「高堂黒天」を名乗っていた。あの『七人の侍』の長老・儀作は、この『むかしの歌』では九州で西郷が立ち上がったと知るや、韋駄天のごとく走る、走る、一路熊本へ。この時、高堂黒天・51歳、充分若かった。
 また、芸達者の藤尾純、何者? と思ったら中原早苗の父親であった。
2022年7月3日(日)鑑賞

     スタッフ
演 出      石田 民三
演出補助     市川  崑
 〃       矢永  渉
 〃       高松由利夫
原作・脚色    森本  薫
撮 影      山崎 一雄
撮影補助     橋本  正
 〃       坂口清三郎
 〃       森田 元成
設 計      河東 安英
装 置      西尾安佐男
装 飾      中島小三郎
録 音      清水 正助
録音補助     青山 通春
照 明      山田  宏
編 集      江原 義夫
舞台付      白井 欽一
記 録      西川無女男
公開年月日:1939.02.01
上映時間:8巻 2,107m 77分
製作会社:東宝京都撮影所
配給:東宝映画

     キャスト
花井 蘭子    お澪
藤尾  純    珊次(油問屋「和泉屋」
進藤英太郎    治平(船問屋「兵庫屋」主人)
三條利喜江    お辻(治平の妻)
冬木 京三    泰三(「兵庫屋」番頭)
高堂 黒天    宅間鉱平(没落士族)
伊藤 智子    おそよ(鉱平の妻)
山根 寿子    お篠(鉱平・おそよの娘)
沢井 三郎    大亀
森野鍛冶哉    車夫・鉄造
深見 泰三    酒井
菊池双三郎    清水
大崎時一郎    医者
石川  冷    点灯夫
山田 好良    太吉
江島 瑠美    兵庫屋女中・お梅
石井千恵子    和泉屋女中・お伸
島津 勝次    六助
松田  新    医者
佐藤 艶子    風車売りの少女


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