ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『五十年目の浮気』(宝塚映画1956:青柳信雄)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて、『五十年目の浮気』(宝塚映画1956:青柳信雄)を観る。
 柳家金語楼には、沢村宗之助を筆頭に五男六女の子どもがいて、いまは楽隠居。ところが、子どもたちが集まって相談しているのは、母親のこと。金語楼と喧嘩して家を飛び出し、全国に散らばる子どもたちのところを泊まり歩いているのだ。
 子どもたちにせっつかれても、喧嘩の原因をしゃべらない金語楼。でも妻には早く帰ってほしい。そこで考えたのが、新入り女中・宮城まり子との浮気の噂を撒き散らすこと。酒屋の小僧に、アツアツぶりをわざと写真に撮らせたりして、計略成功。妻は飛んで帰ってきたが、宮城まり子のほうが本気になってしまい、ひとり寂しく田舎に帰るのだった。
 演劇出身の青柳信雄は、カメラ据えっぱなしでの人の出し入れがうまい。もちろん、それは芸達者の俳優たちがいればこその演出力なのだが。
 それにしても、たわいのないホームコメディでも、映画が時代の最先端を走っていたことがよくわかる。それは、金語楼の妻が北海道のこどものところから羽田へ飛行機で帰ってくる。と思ったら、すぐ乗り換えて大阪へと飛んでいく。すごい!流行の最先端どころか、流行にすらなっていないものを画面に登場させるのだから。