ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『釣鐘草』(1940:石田民三)

 『釣鐘草』(東宝映画・東京1940:石田民三)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)・小ホールにて見る。10月4日より始まった「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」の1本。同時上映『三尺左吾平』310円。初見。

 『釣鐘草』(59分・35mm・白黒)
 石田民三にとって『花つみ日記』(1939)に続く、高峰秀子主演による吉屋信子原作物。「女学生のバイブル」と呼ばれた少女小説花物語」の一篇をもとに、不遇な少女(高峰秀子)が弟(小高たかし)のために自活しようと師範学校に進むが、思わぬ展開となる。なお、1935年に新興キネマ東京にて川手二郎監督により霧立のぼる主演で初映画化された。
以上、NFAJの解説より。

 井戸の傍で夕餉の米を研いでいる弓子、そばにまとわり付いている小学1年の弟・雄吉。そこに学校の先生が来たとの知らせ。先生は、弓子の女学校への進学その後の大学も夢ではない、と勧める。姉弟の父親は放蕩三昧で財産を無くして死亡、母親は実家の父親に引き取られて実家暮らし。そんな境遇の姉弟を引き取って世話している伯父夫婦。村医者だが、自分たちの子ども3人もあり、決して裕福でもない。でも、女学校どころか大学への進学も、担任の先生と弓子に約束する。
 けれども、母親の再婚話が進行中であることを知った弓子は、幼い弟の母親代わりになることを決意して、早く自活できるようにと、師範学校(授業料免除)進学を選択し、寮生活となる。
 タイトルの『釣鐘草』は弓子が大事にしていた釣鐘草の押し花のことで、寮生活でいない姉の代わりとして弟が持っていたもの。今はの際まで釣鐘草を握っていた弟の姿には涙を誘われる。
 石田民三の女性の繊細な心理描写には、いつも感心させられる。今回も少女の弟への思い、母親への思い、寮生活での同室の先輩や同学年友人への思い、など手慣れた演出ながら、上手すぎる。戦後すぐ、50歳手前で引退したのは本当に惜しかった。
2022年10月7日(金)鑑賞

     スタッフ
演 出      石田 民三
脚 色      八住 利雄
原 作      吉屋 信子
製 作      山下 良三
音 楽      飯田 信夫
撮 影      唐澤 弘光
照 明      平田 光治
装 置      北  辰雄
録 音      樋口 智久
編 集      後藤 敏男
製作主任     関川 秀雄
現 像      西川 悦二
演奏:P.C.L.管絃楽團
公開年月日:1940.07.03
白黒/スタンダード
上映時間:68分
製作:東宝映画・東京
配給:東宝映画

     キャスト
高峰 秀子    弓子(小学6年→師範学校)
小高たかし    弟・雄吉(小学1年→2年)
沢村 貞子    お母さん
高堂 国典    お祖父さん
御橋  公    伯父さん(村医者)
河田 京子    伯母さん(弓子の父の姉)
北沢  彪    山畑先生(弓子の小学校の担任)
清水美佐子    里枝(師範学校の同学年)
林 喜美子    貞子(室長)
永岡志津子    花子
京町ふみ代    その子
三條 正子    松子
一の瀬綾子    英語の先生
榊田 敬治    佐平さん
馬野都留子    女中
土屋  守    郵便屋
野村 秋生    小僧
沢井 一郎    伯父さんの子供
富士山君子    伯父さんの子供
高橋 四郎    伯父さんの子供
沢村春次郎    小使


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