ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『戀愛の責任』(1936:村山知義)




 『戀愛の責任』(P.C.L.1936:村山知義)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)・小ホールにて見る。10月4日より始まった「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」の1本。初見。

 『戀愛の責任』(71分・35mm・白黒)
 日本の前衛芸術運動の旗手であり、絵画や小説に演劇の演出など、多方面で活躍した村山知義が、新興P.C.L.の期待を背負って監督デビューした作品。亡き父の残した負債のために財産を差し押さえられた姉妹は、行く手に待つ禍を乗り越えて新しい恋に目覚める。村山はテンポの速い台詞廻しや、カットごとのキャメラアングルに才気溢れる工夫を凝らし、男性への隷属から解放されたモダンな女性像を提示した。
以上、NFAJの解説より。

 おもしろい。主人公・朱子が前向きで恋愛にも積極的。伯父さんに金を借りても、隷属することなく、恋愛は別もの、という考え方。
 姉・仙子も弱々しい女性から、積極的に藤田にアタック。藤田の事業がうまくいかなくなると、逆に叱咤激励してお金も恋愛も勝ち取ろうとする強い女に変身。
 女優・冴子は最初から積極的で、新助を誘惑したり、お金のために絵のヌードモデルをしたり、金持ち伯爵に近づいたり、、。
 三人を積極的な自立した女性として描くことによって、村山知義は世の女性たちを啓発しようとしたのかもしれない。86年後の現代では、主人公の奇異な言動を笑って見ていられるが、1936年の封切り時はどんなだったのだろうか。
 演劇的な硬いセリフまわしなど、やや映画的なリアルさとはほど遠いところも多々あり。それゆえのせいか、村山知義P・C・L入社第一回作品と銘打った割には、その後の作品が見当たらない。早々に映画界から撤退したということかな、、、。
2022年10月8日(土)鑑賞

     スタッフ
演 出      村山 知義
脚 色      村山 知義
原 作      片岡 鉄兵
         「流れる景色」より(中外商業新報連載)
撮 影      鈴木  博
装 置      久保 一雄
録 音      道源 勇二
編 集      岩下 広一
音楽監督     伊藤  昇
演奏:P.C.L.管絃楽團
録音・現像:写真化学研究所
公開年月日:1936.10.11
白黒/スタンダード
上映時間:71分
製作:P・C・L映画製作所
配給:東宝映画配給
「接吻の責任」改題

     キャスト
堤 眞佐子    北山朱子
細川ちか子    北山仙子(朱子の姉)
大川平八郎    江藤新助(仙子・朱子の伯父)
北沢  彪    藤田二郎(仙子と相思相愛)
佐伯 秀男    田島春彦(仙子の見合い相手)
丸山 定夫    田島剛太郎(春彦の父)
清川 玉枝    北山艶子(江藤新助の妹、仙子・朱子の母)
三好 久子    
近藤伊与吉    画商・須山
三島 雅夫    今福伯爵
鶴丸 睦彦    樋口
中村 栄二    
藤ノ木七郎    
村井永二郎
竹久千惠子    別井冴子(離婚後、女優となる)


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